○小児における頭蓋外頚動脈瘤:1施設における4人の患者の経験と文献レビュー 

Extracranial carotid arteries aneurysms in children: single-center experiences in 4 patients and review of the literature.  J Pediatr Surg. 2007 Nov;42(11):1961-8. Pourhassan S et al.

 

 

○私的コメント(Discussionから)

 

報告を読んでいて臨場感を感じました。以後Discussionから抜粋です。

 

局所不快や脳虚血等の症状がある頚動脈瘤の患者はすべて手術適応となる。

 

成人における無症候性頭蓋外頚動脈瘤の手術閾値は2cm以上とされている。

 

小児においてはその頻度の低さから手術閾値を決めることは困難である。しかしながら破裂や脳虚血などの中枢神経系の合併症のリスクを考えるとおそらく早期の手術が最良の選択である。術法としてSVG置換か人工血管置換が考えられる。例えば4歳以下の患者の場合、SVGが小さすぎるという可能性もある。Rheinlander techniqueSVGをつないて太くする)を使ったり、深大腿静脈を使用することもある。それ以外には瘤切除後の再吻合という方法もある。結紮は死亡率35%との報告があるが子供での報告はない。

 

 

 

○要旨

 

背景 頭蓋外頚動脈瘤は小児において極めてまれであるが、血栓性イベント、破裂を起こす可能性が高い。

 

方法 われわれの施設の頭蓋外頚動脈瘤を有する小児に対する臨床的、治療的特徴を調べるため、我々はカルテ、電話聴取データ、筆記された調査、臨床検査をレビューした。

 

結果 19811月から20066月までに、われわれの施設で頭蓋外頚動脈瘤の18歳未満の4人の患者が外科的に治療された。三人が少年で一人が少女であった。3人の患者において扁桃切除術の既往があった。すべての患者は症候性で局所兆候はすべての患者で認めた。1人の患者で瘤による半球症状片麻痺を認め、脳卒中になった。瘤は総頸動脈と外頚動脈が1例づつ、内頚動脈に2例認めた。原因は先天的、感染、外傷(扁桃切除術後)と1例病因不明であった。瘤切除と静脈グラフト置換が3人の患者になされた。外頚動脈瘤は再建なしに切除された。術前後の死亡や脳卒中は認めなかった。初期のf/u期間に1人の患者で一時的な嚥下障害が出現し、1人の患者さんで一時的に顔面神経麻痺が出現した。術前に脳梗塞を起こした患者は神経障害が残った。すべての患者が術後もf/uされた。1981年に手術された患者は25年無症候であったが術後3年でグラフト閉塞した。再発作を認めた患者はまだ神経障害後遺症を認めた。ほかの2人の患者は異常なく、血管も開存していた。

 

 

 

患者のサマリー

 

患者115歳 男性 8年前に扁桃切除、糖尿病 瘤のサイズは4-4.5cm 感染性仮性瘤 術式:SVG置換術 一時的な顔面神経麻痺あり 3年後にグラフト閉塞も無症状

 

 

 

患者217歳 男性 10日前の扁桃切除 外頚動脈の仮性瘤 術式:外頚動脈結紮 培養にてstreptococcus group A検出 一時的な嚥下障害あり 

 

 

 

患者317歳 男性 11年前の扁桃切除 TIA2回、瞳孔不動 3-3.5cm 右中大動脈領域の脳梗塞あり 術式:SVG置換 解離瘤 原因不明であるがおそらく外傷性 片麻痺を認め、後遺症認めたが、その後は再発なし

 

 

 

患者412歳 女性 ホルネル兆候、めまいが出現。 動脈瘤径は3cm 真性動脈瘤で総頚動脈に認めた。無症状 術式:SVG置換