外科的、内科的な頭蓋外頚動脈瘤のマネージメント  

Surgical and medical management of extracranial carotid artery aneurysms. Vasc Surg. 2015 Feb;61(2):389-93. Fankhauser GT et al.

 

 

○私的コメント(文献の内容も含む)

 

手術法として1、クリッピング 2、瘤切除+血管吻合 3、瘤切除+グラフト置換 4、頭蓋外、頭蓋内バイパス 5、頚動脈結紮があるとされている。頚動脈結紮は脳溢血のリスクが25%、死亡率が20%であり最後の手段。結合組織病においては多くは3の選択になると考える。

 

症候性で外科手術となることが多く、手術となる瘤の平均サイズは21.2mmであった。ある文献によると成人において症候性もしくは無症候性で20mmを外科治療の閾値とするという報告がある。瘤の形態が悪い場合、急速な拡大を認める場合も早期手術の適応と考える(私見)。この領域の治療は血管外科もしくは脳外科の領域になると考えられるが、治療可能な施設はかなり限定される(私見)。また結合組織病は解離、再発、瘤拡大のリスクが高く、直視下手術が標準的な治療であるとしている。

 

 

 

○要旨

 

1998-2012年におけるMayo clinicの頭蓋外頚動脈瘤の治療のデータをまとめた。

 

症例は141例、132人(平均61歳で69人が男性)。116例(82%)が仮性瘤、25例(18%)が真性瘤。69例(49%)が無症候性、72例(52%)が症候性(28例が疼痛のない腫隆、10例がTIA10例が視症状、9例が破裂、4例が疼痛を伴う腫隆、1例が嚥下障害、1例が舌の力低下、1例が血管雑音)であった。真性瘤の原因は線維筋性異形成15人、Ehlers-Danlos症候群3人、マルファン症候群1人、未分類の結合組織病2人であった。25例の真性瘤のうち、11例(44%)が症候性で、15例(60%)が無症候性であり、15例(60%)でopen surgeryが行われ、10(40%)で手術なしに治療された。31ヶ月(0-166ヶ月)のf/uの期間術後合併症として1例の脳卒中を認めた。手術なしに治療された仮性瘤は77ヶ月(1-115ヶ月)の期間に侵襲的治療介入は必要とされなかった。116例の仮性瘤のうち60例(52%)が症候性であった。33例(29%)に直視下手術がおこなわれ、18例(15%)で血管内治療がおこなわれ、65例(56%)で内科的に経過をみた。内膜切除術の平均82ヵ月後で28人(24%)の患者で仮性瘤ができた。すべての瘤の平均f/u期間は33.9ヶ月であった。1例(0.7%)が術前の動脈瘤破裂にて死亡した。手術なしに治療された患者は瘤関連の死亡や重大合併症は認めなかった。内科的加療は無症候性の患者(71%)で症候性(31%)の患者より多かった。

 

結論:頭蓋外頚動脈瘤はまれであり、異なる症状を呈しうる。頚動脈のあらゆる部分にて瘤ができうるが、内頚動脈が最も高頻度である。仮性瘤の患者はより血管内治療が行われる傾向にあった。選択された患者において手術なしに治療することは安全である。

 

 

 

真性瘤について

 

25例の真性瘤のうち、11例(44%)が症候性であった。瘤径は症候性で平均22.8mm、無症候性で平均12.9mmであった。15例(60%)で手術(平均径21.2mm)が行われ、10例(40%)(平均径12.0mm)で手術がおこなわれなかった。手術症例のうち14例(93%)で瘤切除と再構築が行われ(7例で端端吻合、4例でSVGに置換、3例で人工血管置換)、1例(7%)で縫縮術が行われた。31ヶ月(0-166ヶ月)のf/u期間において術後合併症として1例の脳卒中を認めた。脳卒中は術後8時間で起こり、polytetrafluoroethylenePTFEgraft(Gore)の血栓性閉塞が原因であった。グラフトが切除され、SVGに置換された。患者は後遺症を認めなかった。