○若年成人における頚動脈解離と虚血性脳卒中と血管危険因子との関係
Association of vascular risk factors with cervical artery dissection and ischemic stroke in young adults. Circulation. 2011 Apr 12;123(14):1537-44. Debette S et al.
○私的コメント
頚動脈解離は高血圧で起こりやすく、高コレステロール血症、肥満、過体重で起こりにくくなるという結果である。納得がいく結果である。LDSの患者においては低体重が起こりやすく、ガイドラインにおいても栄養補給の閾値を低くすることが推奨されているが、頚動脈病変のことを考えても常に体重を増やすことを頭においておくべきである。LDS患者において積極的降圧療法の重要性は今までのあらゆるデータでも証明されているとおりである。
○要旨
背景:若年成人のおもな虚血性脳卒中の原因である頚動脈解離のリスクファクターについてほとんどわかっていない。虚血性脳卒中の主要な危険因子は高血圧、糖尿病、喫煙、高コレステロール血症と肥満である。しかしながら、頚動脈解離の特異的なリスクファクターはあまり調べられていない。われわれの目的はCADISP研究として血管危険因子の頻度を頚動脈解離患者と対象で比較することと、虚血性脳卒中患者における頚動脈解離の患者と非頚動脈解離の患者の頻度を調べることである。
方法と結果:690人の頚動脈解離患者(平均44.2±8.1歳;43.9%が女性)、556人の非頚動脈解離の虚血性脳卒中患者(平均44.7±10.5歳;39.9%が女性)、1170人の対照患者(平均45.9±8.1歳;44.1%が女性)を調査した。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙、肥満(BMI>30)と過体重(25≦BMI<30)の頻度を多変量ロジスティック回帰にて国、年齢、性別を調整して比較した。対照と比較して、頚動解離患者は高コレステロール血症(オッズ比0.55、、p<0.0001)、肥満(オッズ比0.37、p<0.0001、)、過体重(オッズ比0.70、p=0.002、)が少なく、血圧(オッズ比1.67、p<0.0001)が多かった。すべての血管危険因子は頚動脈解離患者において非頚動脈解離の虚血性脳卒中患者より少なかった。非頚動脈解離の虚血性脳卒中患者では高血圧、糖尿病、喫煙は対照患者より多かった。
結論:これらの結果は現行においてもっとも多く対象について調べた研究であり、高血圧は非頚動脈解離の虚血性脳卒中患者より頻度は低いのであるが頚動脈解離の危険因子であり、高コレステロール血症、肥満、過体重は頚動脈解離は逆に相関している。